Nikon

Log撮影における適正露出の設定方法

Log撮影時に適切な露出を設定できていない場合、白とびや黒つぶれ、ノイズなどが発生することがあります。撮影後の修正は難しいため、撮影時に適切な露出を設定することが重要です。ここでは、露出の基準となる18%グレーのカラーチャートを使って、ウェーブフォームモニターまたはゼブラ表示で適正露出を設定する方法を説明します。

ウェーブフォームモニターで露出を設定する

N-Log動画の場合

  1. 撮影画面にウェーブフォームモニターを表示させる

    • カスタムメニューg[動画]>[撮影画面カスタマイズ(画像モニター)]で[輝度情報]のチェックボックスをオン(M)にします。

    • カスタムメニューg[動画]>[輝度情報の種類]で[ウェーブフォームモニター]を選んでJボタンを押します。

      • マルチセレクターの2を押すと、ウェーブフォームモニターの[大きさ]、[透明度]および[表示位置]を設定できます。

    • 撮影画面にウェーブフォームモニターが表示されます。

  2. 被写体と同じ位置に18%グレーのカラーチャートを置く

  3. 適正露出を設定する

    ウェーブフォームモニターを見ながら、上から3段目の中央付近に波形がくる(輝度レベルが35%程度になる)ように露出を合わせます。10bitコード値の場合は、372程度になるように露出を合わせます。

N-Log動画をPremiere Proで開いたときのご注意

N-Log動画をPremiere Proで開くと、Log3G10動画として開かれます。この場合でもN-Log動画の適正露出に設定を合わせてください。

Log3G10動画の場合

  1. 撮影画面にウェーブフォームモニターを表示させる

    • カスタムメニューg[動画]>[撮影画面カスタマイズ(画像モニター)]で[輝度情報]のチェックボックスをオン(M)にします。

    • カスタムメニューg[動画]>[輝度情報の種類]で[ウェーブフォームモニター]を選んでマルチセレクターの中央を押します。

      • マルチセレクターを右に倒すと、ウェーブフォームモニターの[大きさ]、[透明度]および[表示位置]を設定できます。

    • 撮影画面にウェーブフォームモニターが表示されます。

  2. 被写体と同じ位置に18%グレーのカラーチャートを置く

  3. 適正露出を設定する

    ウェーブフォームモニターを見ながら、上から3段目の中央付近に波形がくる(輝度レベルが33%程度になる)ように露出を合わせます。10bitコード値の場合は、341程度になるように露出を合わせます。

ゼブラ表示で露出を設定する

N-Log動画の場合

  1. 撮影画面にゼブラ表示をする

    • カスタムメニューg[動画]>[ゼブラ表示]>[ゼブラ表示の検出モード]で[中間輝度]を選んでJボタンを押します。

    • カスタムメニューg[動画]>[ゼブラ表示]>[中間輝度検出の範囲]で[基準値]を[95]に、[範囲]を[±5]に設定します。

    • 設定した輝度を検出した部分が斜線で表示されます。

  2. 被写体と同じ位置に18%グレーのカラーチャートを置く

  3. 適正露出を設定する

    撮影画面を見ながら、18%グレーのカラーチャートが斜線で表示される(輝度が95程度になる)ように露出を合わせます。

ISO感度を低感度にした場合のご注意

低感度で撮影した動画は、ハイライトの情報が減少するため最大出力レベルが低下します。ゼブラ表示をする場合、カスタムメニューg[動画]>[ゼブラ表示]>[高輝度検出の範囲]の設定を低めに設定してください。Lo 1.0までの場合は[230]、Lo 2.0の場合は[200]程度に設定することをおすすめします。

Log3G10動画の場合

  1. 撮影画面にゼブラ表示をする

    • カスタムメニューg[動画]>[ゼブラ表示]>[ゼブラ表示の検出モード]で[中間輝度]を選んでマルチセレクターの中央を押します。

    • カスタムメニューg[動画]>[ゼブラ表示]>[中間輝度検出の範囲]で[基準値]を[85]に、[範囲]を[±5]に設定してください。

    • 設定した輝度を検出した部分が斜線で表示されます。

  2. 被写体と同じ位置に18%グレーのカラーチャートを置く

  3. 適正露出を設定する

    撮影画面を見ながら、18%グレーのカラーチャートが斜線で表示される(輝度が85程度になる)ように露出を合わせます。

Log3G10動画を撮影する場合に、ゼブラ表示で適正露出を設定するときのご注意

カスタムメニューg[動画]>[3D LUT]を[ON]に設定している場合、ゼブラ表示はLUTの影響を受けます。18%グレーのカラーチャートを用いてゼブラ表示で適正露出を設定する場合は、[3D LUT]を[OFF]に設定してください。

ベースISO感度の設定について

ベースISO感度は、イメージセンサーから出⼒される最も広いダイナミックレンジを確保できる感度設定です。デュアルベースISOに対応したセンサーを搭載したカメラでは、ベースISO感度を[低感度]または[高感度]から選べます。

項目 内容
ベースISO感度 低感度

ベースISO感度をISO 800に設定します。

  • ISO感度]はISO 200~3200の間で設定できます。
高感度

ベースISO感度をISO 6400に設定します。

  • ISO感度]はISO 1600~25600の間で設定できます。
  • 低感度]と[高感度]はそれぞれ同等のノイズレベルで設計されており、明るい環境では[低感度]を、暗い環境では[高感度]を選択してください。

    低感度]に設定したときの暗部のノイズ

    高感度]に設定したときの暗部のノイズ

    同じ明るさになるようにNDフィルターを使用しています。また、ノイズを見やすくするために強調処理を行っています。

ダイナミックレンジについて

広いダイナミックレンジを確保することで、⽩とびや黒つぶれを防ぎ、ノイズの発生を抑え、⾃然で美しい階調表現が可能になります。また、撮影後の編集や補正にも強く、より⾼品質な作品づくりに役⽴ちます。

  • ニコンデジタルカメラZRのダイナミックレンジは次の通りです。

    • ベースISO感度]を[低感度](ISO 800)に設定した場合

      • ISO 200に設定したときは、ハイライト側のダイナミックレンジが狭いため、明るい部分のディテールが失われています。シャドウ側はダイナミックレンジが広いため、ノイズが少なくより多くのディテールが保持されています。

      • ISO 3200に設定したときは、ハイライト側のダイナミックレンジが広いため、明るい部分のディテールが保持されています。シャドウ側はダイナミックレンジが狭いため、暗い部分のディテールが失われています。

      上記の画像は、ISO感度の設定によるダイナミックレンジの特性がわかるように、同じ明るさにしています。また、シャドウ側の特性がわかりやすいように、拡⼤図は強調処理を行っています。

      これらの特性は[ベースISO感度]を[高感度](ISO 6400)に設定したときも同様です。

    • ベースISO感度]を[高感度](ISO 6400)に設定した場合