ピクセルシフトが有効なシーン
ここでは、ピクセルシフトが有効なシーンや活用方法の一例を紹介します。
より大きな画像サイズや高精細な画像にしたいとき
より大きな画像サイズや高精細な画像が欲しいときに有効です。元のサイズの4 倍のピクセル数の画像になるため、より大きなサイズでの出力が可能です。ピクセルシフト撮影で16 コマまたは32 コマで撮影して1 枚の画像に合成すると、縦横の画像サイズが元の画像の2 倍になります。たとえば6048×4032 ピクセルで撮影した画像を合成した場合、12096×8064 ピクセルの画像が生成されます。
© Taylor Gray
1 コマ撮影の場合
ピクセル数が4 倍の場合
1コマ撮影と同じ画像サイズでより高画質な画像にしたいとき
大きな画像が必要ない場合でもピクセルシフトは有効です。より高解像度なデータを撮影してから小さくリサイズする「オーバーサンプリング」を行うことで、1コマ撮影で撮影したときと同じ画像サイズでありながら、解像感の高い高精細で高画質な画像を生成できます。ファイルサイズは、オーバーサンプリングされていない同じ画像サイズの画像と比較しても大きな違いはないため、アーカイブの観点でもおすすめです。
- 32コマの合成画像をオーバーサンプリングして4コマや8コマの合成画像と同じ画像サイズにした場合は、4コマや8コマの合成画像よりも高画質な画像になります。
© Taylor Gray
モアレが発生する被写体を撮影するとき
モアレは、被写体の構造の細かさ(周波数)と色の関係性や、使用するカメラの性能に由来して発生します。撮影後にモアレを消すことは難しいため、撮影時に発生させないことが重要です。衣服などの繊維、建物の屋根やタイルの壁面のように、細かい構造が繰り返されるような被写体を撮影するときに有効です。
- [撮影コマ数]の設定(4コマ、8コマ、16コマ、32コマ)にかかわらず、1コマ撮影時よりもモアレを低減させることができます。
1 コマ撮影の場合
ピクセルシフト撮影の場合
より深い被写界深度やより広い画角が必要なとき
ピントが合う範囲を広くしたり、画像に写る範囲を広くしたいときに有効です。ピクセルシフトでは、1コマ撮影の約4倍の解像度を持つ画像を生成できます。そのため、1コマ撮影と同等の解像感を維持したまま、被写体から離れて撮影することが可能になります。被写体との距離が長くなると、撮影倍率が下がりパースペクティブが変化することになりますが、より深い被写界深度やより広い画角を得ることができます。
このように、ピクセルシフト撮影ではより広い画角、より明るい絞り値、より速いシャッタースピードを実現しながら、1コマ撮影以上の画質と被写界深度を得ることができます。これにより、余白を持たせた構図で撮影したり、通常よりも絞りを開いて撮影できるようになります。また、後処理で深度合成を行う場合の手間の削減などにもつながります。
ピクセルシフト撮影では、撮影するコマ数を4コマ、8コマ、16コマ、32コマから選べます。撮影コマ数に応じた様々なメリットが、ピクセルシフト合成時に得られます。撮影する枚数に比例してメリットは大きくなります。
コマ数 | 得られるメリット |
---|---|
4コマ | モアレと偽色の低減、細部の色再現性の向上、解像感の向上 |
8コマ | モアレと偽色の低減、細部の色再現性の向上、解像感の向上、ノイズの低減 |
16コマ | モアレと偽色の低減、細部の色再現性の向上、解像感の向上、画像サイズの倍増 |
32コマ | モアレと偽色の低減、細部の色再現性の向上、解像感の向上、画像サイズの倍増、ノイズの低減 |
4コマよりも多いコマ数で撮影しておくと、画像合成時に生成する画像の枚数を選択できるようになります。たとえば32コマで撮影した場合、32コマを1枚に合成できるだけでなく、16コマ単位で2枚、8コマ単位で4枚、4コマ単位で8枚のように複数枚の合成画像を生成することができます。一部のコマで被写体がぶれるなどして合成画像に乱れが発生した場合でも、生成枚数を変えることで望んだ合成結果が得られることがあります(0合成画像の一部に乱れが生じていたら)。撮影時間の短縮やメディア容量の削減などの特別な理由がなければ、常に32コマで撮影することをおすすめします。